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治療について

関節リウマチ(RA)治療法

関節リウマチは、早期に治療を開始するほど患者さんのベネフィットが高いことから、早期診断と早期治療が重要視されています。

近年では生物製剤せいざいの登場などにより「関節リウマチ=難治性なんじせいの病気」という捉え方は払拭されつつあり、寛解かんかい(症状の好転や消失)に向けて積極的な治療が行われます。

関節リウマチの治療方法は大きく分けて4通りあります。
関節リウマチの場合、症状の進行スピードや、症状の重さ、病状には個人差があるため、患者さん1人1人に合わせて治療計画が立てられます。

(1) 基本療法(2) 薬物療法(3) 手術療法(4) リハビリテーション療法

(1)基本療法

基本療法は関節リウマチの診断と同時に開始されます。
基本療法は治療の根幹をなすものなので、他の療法を行う場合にも続けることが大切です。

患者教育

  • 関節リウマチは治療を始めた時期や、患者さんによって症状や進行に差のある病気です。同じ薬であっても、効果の程度には差があります。
    そのため、治療にあたっては症状・予後・治療法・薬の効果などを患者さん本人や家族が知り、十分に理解することが大切です。

※治療中、不安なことや気になることがあれば、医師や理学療法士に尋ねるようにしましょう。

安静

  • 関節リウマチでは、微熱・貧血ひんけつ・リンパ節腫脹しゅちょう・体重減少などの全身疾患しっかんを伴うため、リウマチの活動性が活発なときには例えば昼寝といった安静も必要になります。しかし、全身的安静時であっても、関節可動域かどういきを保持するための運動(エクササイズなど)を1日数回行う必要があります。
    運動量の目安は、「翌日に疲れが残らない程度」です。

運動

  • 関節リウマチでは、病気が進行するにつれ関節の軟骨なんこつや骨が破壊され運動機能を制限する症状が現れるようになります。しかし、関節を動かさないでいると関節は固くなり、筋肉は痩せ、骨への荷重をかけないでいると骨からカルシウムが出てしまいます。そのため筋力の維持や、関節可動域の維持を目的とした運動を、自宅や病院で行う必要があります。
  • 運動例:入浴後や温熱療法後などに最大限の屈伸くっしん運動を全関節で行う。
    お風呂やプールなど体重や重力の負担が少ない状況でエクササイズを行う。
    など(1日1回以上)

※医師や理学療法士の指導の下で行う理学療法は、リハビリテーション療法を参照してください。

日常生活指導

  • 関節リウマチは患者さんの生活と密接に関わっています。患者さんが生活をコントロールすることで、病気の進行を抑制し、遅らせることが期待できます。日常生活指導には次のようなものがあります。
  • 食事について:糖尿病や高血圧などの合併症がない限り、食事制限はありません。たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどのバランスのとれた食事を心がけることが大切です。肥満は関節への負担が増すので注意する必要があります。
  • 温度調整について:できるだけ関節を冷やさないよう、冷房の当たる場所などではひざ掛けを利用するなど、工夫が必要です。

(2)薬物療法

薬物療法は大きく二分されます。免疫めんえき異常であるリウマチそのものを治療する薬剤(抗リウマチ薬、生物製剤)を用いた原因療法と、リウマチによる 炎症えんしょうや腫れ・痛みを抑える薬剤(非ステロイド系鎮痛消炎剤、ステロイド剤)を用いた対症療法です。
近年では生物製剤の登場により原因療法が治療の主役となり、対症療法は脇役という考え方がなされています。

薬剤には効能と一緒にかならず副作用があります。不安があれば、かならず医師や薬剤師に相談しましょう。

抗リウマチ薬(DMARDs; disease modifying anti-rheumatic drugs )

非ステロイド系鎮痛消炎剤やステロイド剤が、関節の炎症自体に対し処方されるのに対し、抗リウマチ薬は、関節リウマチの免疫異常の制御を目的として処方されます。免疫異常を制御することで、関節の炎症やリウマチ進行の抑制を期待できます。効果は高いものの、副作用の発現率が30〜50%と高いため、服用時には定期的な検査が必要です。
副作用には軽微なものも含まれています。

生物製剤

リウマチを引き起こしている炎症性サイトカインに対し分子レベルで作用する薬剤です。
大腸菌など生物を利用し作られているため生物学的製剤あるいは生物製剤と呼ばれます。日本国内では、レミケードとエンブレルの2種類がすでに薬事認可され、利用されています。高い効果が得られる反面、副作用の危険が指摘されており、重篤じゅうとく な副作用に対する注意が必要です。高額であるという問題もあります。

ステロイド剤

ステロイド薬は消炎作用が大変強く、関節リウマチの炎症をすぐに抑えることができます。しかし、継続して同じ効果を得るためには、徐々に服用量を増やさなければならず、長期服用により強い副作用が現れたり、長期服用の後に服用を止めると症状が以前より悪化してしまう、長期服用で骨粗しょう症を引き起こすなどの問題が指摘されています。一般的に、処方のタイミングは次のような場合に限定されます。

  • DMARDsやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬こうえんしょうやく)でも症状のコントロールが難しく、痛みが強い場合
  • 妊娠時や副作用によりDMARDsやNSAIDsを使用できない場合
  • DMARDsの効果が出るまで、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を重視し痛みを抑える必要のある場合
  • 悪性関節リウマチによって血管や内臓で炎症が引き起こされる場合
  • 急性進行型のリウマチにより発熱や全身の多発関節炎が起きた場合
  • 手術や出産により大きなストレスがかかった場合

非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs; non-steroidal anti-inflammatory drugs)

対症療法としては最も一般的で、形態は大きく分けて4種類あります。

経口けいこう剤 [例) アスピリン、インドメタシン、フェンブフェン]

注射剤

坐薬

経皮けいひ吸収剤 [例) 軟膏なんこう /外用液/湿布]

(3) 手術療法

機能障害の程度によっては、機能回復を目的として手術の適応となる場合もあります。
代表的な手術療法には次のようなものがあります。

滑膜かつまく切除術

滑膜切除術は、滑膜を取り除く手術です。
RAの関節では滑膜が増えて炎症・関節破壊を引き起こしています。
そのため滑膜切除術を行うことで、関節の腫れと痛みの抑制が期待できます。
関節リウマチそのものの進行を抑制することはできません。
部位によっては 鏡視下きょうしか 手術で行われます。この場合、鏡視下滑膜切除術といって、皮膚に小さな穴を開けて滑膜を切除します。皮膚の切開を行わないため、術後の回復が早いのが特徴です。
鏡視下滑膜切除術では、リハビリを行ってから2週間程度で普通の生活を行うことが可能です。

関節形成けいせい

関節形成術とは人工関節置換術のことを指します。
関節リウマチによって変形した関節を人工の関節(人工関節)に置き換える手術です。
詳しくは下記のサイトを参照してください。

人工関節ドットコム 人工関節に関する情報サイトです。

腱移行けんいこう術、腱移植けんいしょく

腱の断裂を修復するための手術方法です。
この手術では、断裂した腱を、もともとつながっていた腱とは別の太い腱につなぎます。
薬指や小指の 伸筋腱しんきんけん断裂の治療として多く行われます。元よりも太い腱につなぐため再発予防が期待できます。

(4) リハビリテーション療法

関節リウマチでは、病気が進行するにつれ 疼痛とうつうを含め運動機能を制限する症状が現れるようになります。
リハビリテーション療法ではこれらの症状を軽減させ、患者さんが日常生活動作(ADL; activities of daily living)を維持できるよう、理学療法・装具/自助具・作業療法を用いたリハビリテーション・プログラムが行われます。

運動訓練

軟骨の栄養改善、骨新生の促進、筋力の増強を目的として運動を行いますが、激しい運動は関節炎の症状を悪化させるため注意が必要です。
医師や理学療法士(PT; physical therapist)の指導の下、適度に行います。

温熱療法

温めたパック(ホットパック)を用いて症状の出ている関節を15分〜20分程度温めます。家庭でも安全にでき、また局所の温熱効果は痛みや血流の改善などに効果があります。

温泉療法も温熱療法に入ります。体力を消耗するため、高齢者の場合は特に疲労や湯あたりに注意する必要があります。

関節可動域かどういき訓練

入浴後や温熱療法後などに行います。痛みが強い場合には無理に曲げたり伸ばしたりせず、できる範囲で訓練します。炎症が再燃しないように注意する必要があります。

筋力増強訓練

手指や腕の筋力訓練はゴムボールなどを用いて行います。
下肢
かし
の場合は、 大腿四頭筋だいたいしとうきん・中殿筋・大殿筋を鍛える訓練が覚えやすく、一般的です。

起立・歩行訓練

立つ・歩くといった基本動作の訓練を行います。病院では斜面台や平行棒、温水プールを使うなどします。

装具

関節リウマチで用いられる代表的な装具としては、サポーター、杖、頚椎カラーなどがあります。サポーターは主に手関節、膝関節などに巻いて使うことが多く、保温効果があります。杖はさまざまな種類があり、ロフストランド・クラッチなど肘にはめて使えるものもあります。
頚椎
けいつい
カラーは、症状の進行を防止するため首に巻いて用います。

作業療法

関節の変形によって低下或いは失われた機能を補うための道具、自助具じじょぐを患者さん自身が作ることを作業療法といいます。
病院では医師や作業療法士(OT; occupational therapist)の指導の下、行われます。自助具は既製品を患者さんに合うような道具にアレンジして作り出され、ヘアブラシ・ボタンエイド・調理器具・家屋の改造などさまざまです。

関節リウマチの治療は、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持を目的として行われます。
治療の中で不安に感じることや気になることがあれば、医師や理学療法士、薬剤師に相談してください。

インターネットでもリウマチに関する情報発信は多く行われています。
自助具のアイディアや仕事に関することなどが載っているサイトもあります。
情報収集やコミュニケーションの場として利用してはいかがでしょうか。